子宮筋腫 (子宮腫瘍)

子宮の腫瘍には、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮がん(頸部がん、体がん)、子宮肉腫があります。

がんと肉腫は悪性腫瘍に分類されますので、ここではそれ以外の疾患について解説いたします。

子宮筋腫の頻度は高く、90%の人は持っているとも言われています。一部の方に症状があり、さらにその一部に治療が必要な子宮筋腫があります。子宮筋腫と判別が難しい疾患として、子宮内膜症の類似疾患である、子宮腺筋症という疾患もありますが、診察、検査をしないと判定できません。場合によっては、子宮体がんなどの悪性疾患でも子宮は腫れます。指摘を受けたことがある方は、一度受診をお勧めします。

子宮筋腫は「エストロゲン」という女性ホルモンの影響を受けて増大します。従って、女性ホルモンが盛んに分泌されている成熟女性では、一度子宮筋腫になると、閉経するまで増大します。

子宮筋腫による症状があり、それによる健康障害や日常生活への支障がある場合は、治療の適応となります。

子宮筋腫をもっていても、多くの方は症状がほとんどありません(検査で指摘されても症状がなければ問題ないのです)。子宮筋腫は、出来る場所によって「筋層内筋腫」「漿膜下筋腫」「粘膜下筋腫」に分類されます。

子宮は平滑筋という筋肉で構成されていますから、「筋層内筋腫」ができる頻度がもっとも高くなります。文字通り子宮の筋肉の中で発育していき、大きくなり、子宮内膜が拡張する程度になると月経量が増加する「過多月経」、またそれによる失血からの貧血などの症状を引き起こすようになります。

筋層内筋腫

「漿膜下筋腫」は子宮の表面を覆っている漿膜という組織直下に出来ます。子宮の外側にむかって発育するため、かなりの大きさになるまで症状が出にくいのが特徴です。お腹の上(頭側)に向かって発育すると、相当大きくなってから「腹部腫瘤感」で自覚されることがあります。子宮のすぐ前に膀胱があり、ここを圧迫するようになると膀胱を刺激するようになるため、頻尿症状がでることがあります。後方に発育すると、直腸を圧迫するようになり、この場合、便秘症状になることがあります。

漿膜下子宮筋腫

頻度としては一番少ないのが「粘膜下筋腫」ということになりますが、「筋層内筋腫」が内膜方向に成長して「粘膜下筋腫」と呼ばれるようになることもあります。「粘膜下筋腫」は、月経になる部位=子宮内膜にできる筋腫で、小さくても過多月経症状が強くでて、健康診断の貧血指摘を受け、婦人科受診される、というケースも多くあります。

粘膜下筋腫

妊娠への影響は、子宮内膜を圧迫するようなものがあれば、当然妊娠へ影響することになります。海外論文では、4cm以上の筋腫について、大きさ、症状の有無、発生部位にかかわらず、摘出した方が不妊治療中の妊娠率向上につながったというデータが示されていますが、日本での調査では子宮筋腫の核出と不妊治療における妊娠率との相関はなかったことになっています。しかし、妊娠中に子宮筋腫の存在によっておこる産科的合併症(胎位異常、胎盤位置異常、流産早産、分娩後出血の増加など)の出現があるため、妊娠前に子宮筋腫が判明した場合は、筋腫を取り除いた方がよいということにもなっています。

子宮筋腫の治療については、こちらのページをご覧下さい。

子宮腺筋症も子宮の良性腫瘍であり、子宮筋腫同様、「エストロゲン」の影響を受けて、増大します。

以前は「内性子宮内膜症」と呼ばれており、「子宮筋層に子宮内膜症病変ができたもの」という分類をされていましたが、いまは子宮内膜症とは別疾患としています。しかし、概念的には変わっていませんので、私が外来で患者さんに説明をするときには「子宮内膜症が子宮の筋肉のなかにできたもの」と表現しています。

子宮腺筋症

子宮内膜症という疾患そのものが、炎症性疾患と考えられていますので、漫然と子宮内で炎症が存在しているような状況になっています。この炎症は、月経のときに悪化すると考えられており、結果として月経時に激しく痛むことを特徴とします。

病変が小さいと自覚症状はほとんどないことが多いのですが、増大することにより月経時の痛みとして症状が出てくることが多いです。

また、子宮筋腫と同様、子宮筋層が引き延ばされることによって、子宮内膜の面積が拡大すること、子宮腺筋症病変部分は正常子宮筋層のように子宮収縮がおこりにくいことから、月経時の出血が増大、結果として貧血という症状になることがあります。

子宮腺筋症病変は、正常筋層から剥がしにくいため、よほど限局している病変以外は病巣摘出が困難です。根本的な治療を求める場合は子宮摘出が良いと考えています。