院長ブログ

ピルのデメリット

2018.07.12

ピルを使用していない人で発生する確率が1/10万人に対して、ピル服用で7~8/10万人になると言われていますが、妊娠状態ですと、30/10万人と言われています。一方で、連続して3ヶ月以上正しく服薬した場合、発症リスクは、ピルを飲んでいない人と同レベルまで下がるとも言われているので、過度に心配する必要もないと考えています。

しかし、脳梗塞、心筋梗塞などの血栓性疾患が既往にある方は使えませんし、エストロゲン依存性腫瘍である乳がんの既往のある方にも投与不可能です。また、喫煙されている方はもともと血液が濃いので、血栓ができやすいと言われており、とくに35歳以上の喫煙者では投与できないことになっています。その他、前兆をともなう片頭痛をお持ちの方にも使用できないことになっています。

他の副作用として、長期間の服薬で肝機能障害を起こすことが稀にあります。ただし、これは、どの薬剤でも起こり得るものです。

他には、服薬はじめに気持ち悪くなるというものがありますが、これは慣れることが殆どですが、全くダメな場合には、製剤を変えていくことがあります。

不正性器出血をともなう場合も、使用するピルのエストロゲン濃度が足りないこともあり、あえて中用量ピルを使うこともあります。

ピルを使用すると太る、という方もいらっしゃいますが、殆どの場合、食欲が増えることによる二次的なものです。ご自身で食べる量に気をつけていただければ、おそらく回避できます。一部の方に、プロゲステロンの副作用によるむくみ=体内への水貯留が原因で体重増加する方もいますが、これも服薬を止めれば速やかに戻ります。

喫煙者の場合、血栓症リスクが増大しますので、原則としてピルを服用するには禁煙して頂きます。

禁煙できない方や、服薬を毎日行う事が難しい方には、子宮内薬剤放出システム(避妊リング)による避妊もあります。外来で子宮内に薬剤(プロゲステロン)の付着した樹脂を挿入することで避妊効果をうみます。原則、経腟分娩の経験がある方が装着の対象になります。

投稿者:内出医院

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